今村助教が進めているオレキシン受容体 (OX2R) のNMR解析に関する論文がStructure誌にて公開されました。
“Interaction modes of human orexin 2 receptor with selective and nonselective antagonists studied by NMR spectroscopy.” K. Imamura et al., Structure, 32, 352(2024).
オレキシン神経ペプチドは、脳内のOX1RおよびOX2R受容体を活性化し、睡眠覚醒サイクルや摂食行動、報酬、ストレス反応などに関与しています。このため、これら受容体は睡眠導入剤などの創薬ターゲットとなっていますが、OX1RとOX2Rの構造が類似しているため、サブタイプ選択的アンタゴニストの開発が困難とされています。本研究では、炭素13でメチオニンのメチル基を標識したOX2Rの構造変化をNMRによって解析しました。その結果、アンタゴニスト結合に重要な3つのメチオニン残基が特定され、さらに、アンタゴニストの種類によって構造的柔軟性が異なることが分かりました。OX2Rによるリガンド認識様式の理解を深め、サブタイプ選択的アンタゴニストの開発に貢献するものです。