溶液NMRによるGPCRの動的構造の研究
Gタンパク質共役型受容体(GPCR)は様々な生理機能に関わる重要な膜タンパク質です。既に、X線結晶構造解析やクライオ電子顕微鏡を使った構造解析によって様々なGPCRの立体構造が原子レベルで明らかにされていますが、GPCRが細胞外の刺激を細胞内に伝達する機構については未解明な部分が多く残されています。我々は、生理的な水溶液条件下でタンパク質の構造を解析できる溶液NMR法を使ってGPCRの構造変化を調べています。解析対象の一つに、オレキシン受容体があります。オレキシンは摂食行動、睡眠・覚醒、情動やエネルギー恒常性など、幅広い生理現象に関与することが知られており、その受容体の拮抗薬が睡眠導入剤として市販されているなど、薬学的にも重要なGPCRの一つです。
関連論文
- 今村香代、杤尾豪人 (2024)「NMR 分光法を用いたオレキシン2 受容体と選択的/非選択的拮抗薬との相互作用様式の解析」『生物物理』(日本生物物理学会),64巻,5号,263. PDF Link
- Imamura, K et al. (2024) , Interaction modes of human orexin 2 receptor with selective and nonselective antagonists studied by NMR spectroscopy. Structure, 32, 352.